2017年度 神奈川県公立高等学校 入試総評

神奈川県公立高等学校 入試(2017年2月15日実施)について、模試制作スタッフによる総評を掲載いたします。

全体総評

大設問出題内容(出題形式)小設問数配点受検者平均点
問1リスニング8198.93
問2単語の書き取り363.83
問3適語選択485.80
問4語順整序4126.26
問5英作文(文章の穴埋め)151.85
問6英作文(資料の読み取り)150.53
問7長文読解3157.38
問8資料を含む文の読解3159.21
問9会話文読解3157.14
 3010050.93
(参考:合格者平均点 51.9点)
(神奈川県教育委員会ホームページより作成)

 昨年度入試と比較すると,変化があったのは,①英作文の小設問が5題→3題になり,2題減った。②読解問題(問7~問9)の総語数が約1510語→約1290語と少なくなり,小設問が1題減った。③小設問が減ったことによって,英作文と読解の小設問の配点が4点→5点に上がり,1問ずつを確実に正答する重要性が高まった。④結果として,正答率が50%を超えた小設問が12題→20題と大きく増え,合格者平均点は43.0点→51.9点となった。

 逆に,変化がなかったのは,大設問9題の設定と各大設問の出題形式,文章や資料を読み取ったうえでの情報整理重視(センター試験,TOEIC,TEAP などの出題と同傾向)であった。将来を見据えた「使える英語力」を測定するための出題が,今年度も引き続き行われたと言える。

出題傾向と難度

問1:
通常の会話スピードでの会話とその内容の展開。選択肢においては,会話で使用されていない単語や表現で書かれている内容をすばやく正確に読解する必要があった。英作文では,ifを用いて「条件」を含めた内容を表現するという,難度の高い問題が出題された。
問2:
3題とも,発音とスペリングがやや結びつきにくい単語が出題された。thirstyは,日常的に使用される語として出題されたと考えられる。
問3:
中学3年間の文法事項を確認する,基本的な出題であった。
問4:
会話文中に4題とも組み込まれた形式になり,文脈を理解したうえで並べかえる問題になった。また,センター試験や英検などと同様,語順の一部をマークする形式になった。
問5:
現在完了を用いた文が書けるかが問われた。
問6:
語順等で迷う,難度の高い間接疑問を用いた文が書けるかが問われた。
問7:
2つの資料をスピーチで説明する文章。関係代名詞を含む文が多く盛り込まれており,1文1文が長くなっている。
問8:
小設問に,「メール文」が復活した。3問とも複数の条件が盛り込まれており,条件に合うものを選んだり計算したりして,答えを絞り込むプロセスを要する設定になっている。
問9:
1 つの資料を含んだ,自動販売機の数や役割についての会話文。話者が4 人いるので,誰がどのような発言をしたのかを整理する必要がある。内容一致問題は,選択肢の文が長く,論理的にきちんと思考できる力を要求する,難度の高い出題であった。

受験生に求められる能力と学習方法のアドバイス

【リスニング対策】会話全体を注意深く聞き,メモを取りながら理解して,選択肢からすばやく正解が見つけられるような訓練をする。英検準2級,3級の問題集で練習するのもよい。

【英作文対策】教科書に記載されている重要表現の音読や筆写を行い,日常生活におけるいくつかの場面が英語で書けるようにする。

【長文読解対策】問題集などを用い,中学生の日常生活の内容を含む文章や,時事的な内容を含む文章等を読んで問題を解き,間違えた問題を解き直し,文章を深く理解する訓練を積んでいく。

《3年生の後半の文法事項が重要》3年生の後半で学習する関係代名詞,分詞の形容詞的用法,間接疑問文などが多く盛り込まれることから,これらの文法事項を確実に理解しておく必要がある。

全体総評

大設問出題内容(出題形式)小設問数配点受検者平均点
問1数・式の計算(筆記)41211.56
問2単問集合(筆記)41711.00
問3単問集合(マークシート)52115.99
問4関数(マークシート)3159.73
問5確率(マークシート)2104.88
問6空間図形(マークシート)3157.58
問7図形の証明の記述(筆記)1101.18
問7図形の証明の記述(筆記)1101.18
 2210061.92
(参考:合格者平均点 63.5)
(神奈川県教育委員会ホームページより作成)

 「数・式の計算」「単問集合」「関数」「確率」「空間図形」「図形の証明の記述」という単元は今年度も大設問として出題されているが,グラフを作成したり途中経過を記述したりする出題がなくなり,「単問集合」が問2(筆記)と問3(マークシート)に分割されて出題された。小設問は昨年度と比べ3題減って22問になり,問2と問3の最後の問題と「関数」「確率」「空間図形」の問題は,配点がすべて4点→5点になった(合計で10問)。

 合格者平均点が昨年度の51.7点から63.5点へと,大きくはね上がった。これは,マークシートの影響が大きいと思われる。たとえば,「関数」と「空間図形」における最後の問題の(ウ)は,例年通り難度の高い問題であり,数値を記入する解答形式であれば例年通り正答率は1ケタであったと考えられるが,6択のマークシート形式で出題されたことで正確な数値が算出できなくても正解できる可能性が高まり,昨年度と比べて,正答率はそれぞれ,1.9%→31.5%,3.4%→35.7%となった。

 マークシートで解答する問題の配点が100点中61点を占め,平均点が大きく上がったことから,次年度は是正の方向に動くと思われる。但し,全教科で筆記採点の量を減らしている傾向を考慮すると,マークシート形式の出題が筆記形式の出題に戻るということはあまり考えられず,全体的に問題そのものの難度が上がるのではないかと思われる。

出題傾向と難度

問1:
基本的な計算力を問う問題であり,例年と比べて変化はなかった。
問2:
展開,因数分解,2次方程式,相似という4問の構成であり,相似は線分の比を活用しながら平行四辺形に補助線を引いて考える高難度の問題で,今年度,最も正答率が低かった(正答率8.6%)。
問3:
変化の割合,値段を表す式,中央値,式の値,2次方程式という5問の構成であり,解答形式が4択のマークシートであったことも影響し,正答率は高かった。
問4:
(ア)(イ)の難度と(ウ)の難度の差が大きかった。(ウ)は,関数の図の中の三角形について,頂点を通らずにその面積を2等分する問題であり,線分の比などの図形の性質を利用して解く難度の高い問題であった。
問5:
確率の小設問は,1題減って2題になった。(イ)では,60=2×2×3×5などで条件を絞り込む工夫が求められる,やや難度の高い問題であった。
問6:
(ウ)では,点と線分の距離は点からその線分に引いた垂線の長さであるという中1で学習した知識を利用して解く問題であり,図を書いて考える作業力が求められた。
問7:
2昨年度のように補助線を引く必要はなく,円周角や三角形の外角の性質を利用すれば等しい角が見つけられる問題であった。

受験生に求められる能力と学習方法のアドバイス

 問1~問3までで50点の配点があることから,まずは,中学3年間で学習する各単元の基本的な問題や典型的な問題を,正確に解答できるよう訓練を積むことが大切である。関数は,ここ3年間図形の性質を利用して解く難度の高い問題が出題されていることから,他の都道府県における関数と図形の融合問題や,国私立高校の問題を解くことが必要である。また,確率では,与えられた条件を整理し,きちんと作業をする力を身につけることが必要である。尚,マークシート形式の問題が半分以上を占めることから,マークミスによる失点を避けなければならない。

全体総評

大設問出題内容小設問数配点受検者平均点
問一漢字の読み取り,熟語,助詞,俳句102015.77
問二古文の読解41612.24
問三小説文の読解62418.68
問四論説文の読解73018.28
問五資料を含む文の読解2106.09
 2910071.06
(参考:合格者平均点 73.1)
(神奈川県教育委員会ホームページより作成)

 今年度の大きな変更点は,漢字の書き取り問題が同じ漢字を含む熟語を選ぶセンター入試形式の問題になったこと,小説文における記述問題がなくなり,記述問題の配点が20点→12点に減少したことである。大設問の配列や内容,小設問の数は例年通りであったが,上記のような設問形式の変更や,小説文と論説文を合わせた文章量が1000字以上減少したことなどで解きやすくなったこともあり,合格者平均点は64.7点→73.1点と,大幅に上昇した。

出題傾向と難度

問一
(ア)では,「寡占」「頒布」「諭す」という,やや難度の高い漢字の読み取りが出題された。(イ)では,前述の通り,漢字の書き取り問題が同じ漢字を含む熟語を選ぶ形式の問題になり,出題された漢字も小学生配当の漢字なので,正答率は大きく上がった。(ウ)の助詞の識別は4年連続の出題であり,(エ)の俳句の鑑賞(隔年で短歌の鑑賞)もほぼ例年通りの出題であり,ともに平易な問題であった。
問二
ある農民が鶴を助け,その鶴が農民に稲を届けるという恩返しを行い,この話を聞いたある商人が,その稲の籾をみやげとしてもらって領主に献上したというあらすじであり,意味が取りづらい古語はほとんどなく,わかりやすい内容であった。昨年度は出題されなかった現代語での意味を問う問題が4問中2題出題されるなど,全般的に解きやすい問題であった。
問三
性格の異なる兄弟を温かく見守る周囲の人物,および,兄弟同士がお互いの良さを認識し合うというあらすじであり,場面がイメージしやすいことから,心情が容易に把握できる内容であった。(ア)の慣用句を含む問題が2点→4点になり,記述問題が出題されなかったことで4点×6問=24点の構成になり,迷う選択肢も少なく,全体的に解きやすい問題であった。
問四
「経済」と「社会」は異なる論理で作り出されているが,「経済」の展開と「社会」の創造が一体化しうるかたちの「半市場経済」を進めていくことが望ましいという内容であり,例年通り,文章そのものの難度は高い。しかし,文章量がやや少なく,全般的に迷う選択肢も少なかったことから,選択肢を選ぶ問題は解きやすかった。記述問題は,傍線部分に「このような」という指示語が含まれていることから指示語の内容を探す形式だったが,指定語句が含まれている2つの部分をうまくつなげる必要があったことから,やや難度の高い問題であった。
問五
例年通り,4人の生徒が資料の内容をふまえて会話するという設定で,資料の読み取りの問題と記述問題の2問の出題であった。記述問題は配点が8点→6点になったものの,「Bさん」「Cさん」「Dさん」の3人の生徒の発言は一文にまとめやすく,昨年度と比べて正答率は14.2%→49.5%と,大きく上がった。

受験生に求められる能力と学習方法のアドバイス

漢字は,あまりなじみのない熟語(今年度の「頒布」,昨年度の「憤慨」など)を含め,その読み書きと意味をひとつずつ覚えていくことが必要である。古文や小説文では,せりふや行動の内容から場面をイメージし,文脈を丁寧に追うことが必要である。論説文では,文と文,段落と段落のつながりをふまえながら,筆者の主張を,その根拠に立ち戻りながら把握していくことが必要である。資料を含む文では,資料の内容をきちんと読み取るとともに,指定された条件に応じて内容をまとめることが必要である。問題集などを使用して,「読んで解く」「読んで書く」という作業を繰り返し,経験値 を高めていくことが大切である。

全体総評

大設問出題内容小設問数配点受検者平均点
問1電子,力,音395.13
問2気体,水の性質,イオン394.61
問3花のつくり,生殖,刺激と反応393.31
問4惑星,月,空気中の水393.85
問5運動とエネルギー4165.32
問6酸化銅の還元4167.48
問7土の中の微生物のはたらき4167.86
問8地震と地層4168.70
 2810046.26
(参考:合格者平均点 46.5)
(神奈川県教育委員会ホームページより作成)

 大設問の数や各大設問における配点,出題単元の順序(物理→化学→生物→地学の順)は例年通りであり,小設問は昨年度より1題減った。これにより,問1~問4(小問形式の出題)は各3点×3問=9点,問5~問8(テーマに基づいた大問形式の出題)は各4点×4問=16点となって小設問の配点が固定化され,問1~問4の小設問と問5~問8の小設問では,常に1点の配点の差があることになった。

 例年通り,実験,観察に関して一問一問よく練られた問題で構成されている。昨年度は実験,観察,会話文とそれらの結果などを読み取る力が高いレベルで求められたが,今年度は実験,観察における斬新な設定をふまえて科学的思考の深掘りが求められ,結果的にここ数年の高い難度を維持し,合格者平均点は昨年度と同じ46点台になった。

出題傾向と難度

問1:
基本的な内容を問う問題。物体にはたらく力について,作用点と方向からどのような力かを考えさせる問題の難度がやや高かった。
問2:
知識で解く問題。気体に関する問題の正答率が低かったが,塩素の性質が今一つ定着していなかったのではないかと思われる。
問3:
写真上の記号と花のつくりの名前が1対1で対応していなかったり,刺激に対する反射なのに脳への経路が書かれているなど,今までの出題ではあまり見かけない問題は,40%を切る正答率になった。
問4:
月に関する問題は,満月の日から一週間後という条件から何が言えるのかを考えさせるという,難度の高い問題だった。また,実験で確認できることは3つのうちのどれかという,今までに見られない出題形式の問題もあった。
問5:
斜面を上る運動という,あまり見かけない実験が出題され,速さの増減,力の方向と運動方向,および力学的エネルギーの種類とその増減などについて,きちんと理解しているかが問われた。
問6:
酸化銅の炭素による還元において,グラフから完全反応時の数値を読み取って考えるという,深い思考を求める設定であった。不完全反応時の気体の発生量を求める問題は難度が高かった。
問7:
実験結果から,どのような可能性がなくなるかを記述するという難度の高い問題が出題され,科学的思考とともに表現力も求められた。
問8:
地図と柱状図をもとにして断層がどこにあるのかを考えさせるという,新しい設定の問題が出題された。

受験生に求められる能力と学習方法のアドバイス

【求められる能力】知識や資料からの情報を的確に活用する力,目的に合う実験や観察を設定する力,見出だしたことがらを文で表現する力などが求められている。このような力の伸長には,土台となる知識を身に付けたうえで,多くの問題を練習することが大切である。

【学習アドバイス】教科書に書かれていることがらが入試問題として出題されているので,常に教科書に立ち返って内容を確かめる習慣をつけることが望ましい。知識はいくつかのことがらと関連付けて暗記するようにし,知識面で苦手な部分をなくすようにすることが大切である。学校で行われる実験・観察にきちんと取り組み,提出するレポートなどで表現力を養うとよい。

全体総評

大設問出題内容小設問数配点受検者平均点
問1世界の地理5167.27
問2日本の地理5156.56
問3古代,中世,近世の歴史5168.69
問4近代,現代の歴史72311.26
問5日本国憲法,選挙,政治51510.73
問6経済,国際社会4157.82
 3110052.33
(参考:合格者平均点 54.5)
(神奈川県教育委員会ホームページより作成)

 昨年度と比べて小設問は7題減り,その分,2点配点の小設問は3点配点になり,1問1問の重要性が増した。記述問題では字数の指定がなくなり,4点×2問のセット形式の問題も出題された。また,歴史上の資料とその解説文からの問題や,資料の中の数値から企業の意図を問う問題など,新しいパターンの出題が見られ,略断面図を選ぶ問題が9年ぶりに出題された。

 毎年正答率が低い,白地図に図柄をかき入れる問題や,できごとをおこった順に並べかえる問題が今年度は出題されなかったこともあり,合格者平均点は,昨年度と比べて少し上昇した(52.0点→54.5点)。100点満点になってからの5年間,合格者平均点は49.5点から54.5点の間で推移しており,次年度もこの難度で出題されるものと思われる。図や資料を多く用い,その読み取りを含めて多くの事象を考えさせるように作成されており,知識に立脚した思考力,判断力,表現力が,今後も高いレベルで求められていくと思われる。

出題傾向と難度

問1:
時差の問題では直行便の概念が取り外され,経由地から到着地までの時間を求める形式で出題された。雨温図は農作物を組み合わせた形式で出題され,難度が高くなった。日本の領土に関する問題は今年度も出題され,1ページを丸ごと使用した分量であった。
問2:
白地図に図柄をかき入れる問題や,写真がどの地点で撮影されたものかを選ぶ問題が出題されず,略断面図を選ぶ問題や,拡大された部分的な地図において該当する県を選ぶ問題が出題された。特に,後者の問題は,ふだん見慣れている県境線がイメージできず,難度が高かった。
問3:
地歴融合は今年度も行われ,逆さまから見た日本地図が提示された。よって,歴史上のできごとはどこでおこったのかを,地図帳などを用いて常に確認することが引き続き大切である。また,できごとをおこった順に並べかえる問題は出題されなかったが,あるできごとがおこった時期はどの2つのできごとの間なのかを問う問題が出題されており,歴史上のできごとは,その因果関係も含め,おこった年代で把握していくことが望ましい。
問4:
記述問題では,世界恐慌で日本が置かれた厳しい状況を盛り込んで書く力が求められた。また,関税自主権がないということを直接問わず,関税自主権がないことから当時の輸入品の価格は国産品の価格と比べてどうだったのかという,思考力を問う問題が出題された。
問5:
基本的な内容が出題された。資料の読み取りの問題では,知識がほぼ不要であった。
問6:
記述問題の配点が8点→6点に下がった。政府の取り組みについて,グラフと文章資料を読み取って書く形式は昨年度とほぼ同様であるが,字数が指定されなくなったことにより,思いつくことはどんどん書けるようになった。但し,誤った内容や,資料からは読み取れない内容を書かないようにすることが必要である。

受験生に求められる能力と学習方法のアドバイス

要求されている力のうち,知識については,当然ではあるが教科書に書かれている内容である。よって,まずは教科書の内容をきちんと理解し,身につけていくことが大切である。その際,単に暗記をするのではなく,あるできごとと他のできごととの関連,時代背景,因果関係なども同時に覚えていき,そのできごとについてはどのように聞かれても答えられるようにしていくことが望ましい。また,世界で現在おこっているさまざまなできごとにも興味をもち,その因果関係を考え,日本との関係を調べるなど,1つのことを深く考える訓練を積んでいくことで,思考力を高めていくことが大切である。

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