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2019年度の神奈川県入試(全日制)の傾向と今年度の神奈川全県模試について

 2月14日に実施された神奈川県公立高校共通選抜入試(全日制)では、2017年度の入試から導入された「マークシート」形式の解答欄が表面に、文章などを記述して解答する問題の解答欄が裏面に配置されるという変化はありましたが、問題量自体は前年とほぼ変わらない結果となりました。全体の出題傾向としては、幅広い知識を用いて論理的に解答を導く「思考力」や、複数の知識を的確に、素早く活用して正解を導く「判断力」を求める傾向が強まり、難化が進んでいます。

 今後は、身についている知識の量を問うとともに、問題文から情報を整理して、どう知識と結びつくか、あるいはどのように分析できるか、といった「思考力」を評価する設問がさらに増えていくと思われます。また、英語や国語を中心に設問ごとの問題文が長くなる傾向にあるため、短時間で解答に必要な情報を選び取る「判断力」が求められています。前年に続いて記述する形式は減少傾向あるものの、一つひとつの記述問題は資料や図表から何が導き出せるかを問うものとなっているため、単純な知識の理解を超えて、物事に対して日常的に疑問を持って接する姿勢が問われています。「問題解決能力」とともに、課題を自ら見つけようとする意識を重視する傾向にあると考えられます。
教科ごとの内容に目を移すと、大設問の順序、分野ごとの配点に大きな変化はありませんが、選択肢を選んで解答する形式の問題が増え、記述する形式の問題が減少するという変化が起こっています。各教科の難度に関しては、数学や国語は難化した一方で、2014年から前年まで、他教科と比較して難化傾向が続いていた理科は大きく易化した結果となっています。
以下に、今年度の入試について、昨年度からの変化を中心に、教科別に記載いたします。

英語

《全体》

前年と比較して大問ごとの出題形式・配点に変化はなく、英文を記述して解答する問題が1題、資料を含む文の読解問題が2題、会話文の読解問題が1題という形式が続く形となりました。各設問では「思考力」の必要性が高まり、またリスニング・長文読解では、単語数が3割ほど増加したため、例年以上に情報を整理する力が求められるようになり、難化の傾向となっています。

《リスニング》

前年と同様に、きちんと会話の文脈をおさえた上で、選択肢の内容を短時間で論理的に読み取る力が求められるものとなりました。特に(ア)、(イ)においては、聞き取った情報を端的に整理する力が、(ウ)においては、前年より分量が増加したため、すばやく数的処理をする力が求められる傾向にあります。

《適語補充》

前年度と比べて、一つひとつの語句を答えさせる形式だけでなく、イディオムを考えさせる出題が増加しています。普段から幅広く、英文の中で英語の表現に触れているかが問われる設問となって います。

《英作文》

未来形(will)と可能の表現(be able to)を組み合わせて疑問文を構成する内容となりました。文の途中から出題されているため、小文字で書き始める等、前後の内容に配慮した解答が求められています。前年の未来形と受動態の組み合わせのように、学習した文法を深く理解しているか、また適切に内容を読み取って表現できるかを測る傾向は今後も続くと予想されます。

《長文読解》

スピーチを読み取る長文(今年度入試の問6)と、会話や図表を含む長文(今年度入試の問7)、長めの会話文(今年度入試の問8)という形式は前年度と変わりませんでした。しかし、問7での数的処理能力が求められる出題(現行のセンター試験の第4問と同傾向)や、問8での英文量の増加にともない、前年度より素早く情報を処理する力が求められる結果となっています。

数学

《全体》

前年同様に、計算問題や小問集合(問2)など基礎~標準の難度の設問は番号選択(マークシート)形式で出題され、単問形式(問3)や各大問の最後の設問など、難度が高い設問が数値記入形式、あるいは記述する形式で出題されています。前年と比べて、問3の設問数が2問→3問に、問7の設問数が2問→3問に増加していて、いずれも難易度が高い記述する形式となっています。基本的な事項を組み合わせて考えられるか、また増加した難度の高い問題に対して筋道を立てて取り組めるかどうかを測る方向へと変化しました。

《小問集合》

各設問の出題単元が、前年とほぼ同じとなりました。ただし、(カ)では前年の「資料の活用」の単元ではなく、過去に全く出題されていなかった「標本調査」の単元から出題されるという変化が起こっています。

《単問形式》

(ア)では円周角と二等辺三角形を組み合わせて解く問題が、(イ)では複雑に相似(中点連結定理)が組み合わさっている図形から面積の比を求める問題が出題されました。いずれも補助線などを適切に記入して解答へとつなげていく発想力が求められています。また、(ウ)の連立方程式の問題では、条件にもとづいて方程式を立てるだけでなく、実際に解を求める必要があるため、全体として計算量が増加しています。

《関数》

関数と図形の性質が組み合わせられた出題に変化はなく、例年通りの傾向となりました。しかし、(イ)の直線BFの式を求める設問は、点Fの座標を求めるまでに必要な計算量が多く、前年よりやや難化しました。

《確率》

前年通り、長い設定の文を理解して、「例」をふまえて正しく作業することが求められています。前が「図形上の点移動」であったのに対して、本年は「カードの組み合わせ」に関するものであったため、【ルール①】、【ルール②】を正確に、素早く理解して組み合わせを書き出す作業力が焦点となりました。

《空間図形》

(ア)、(イ)では立体の表面積や、三平方の定理を用いた長さの計算など基本的な図形の知識が求められ、前年と同様の傾向となりました。(ウ)では展開図をかいたうえで、相似を用いて計算をすることが求められたため、差がつく設問となっています。

《証明》

円周角の性質を用いた証明という傾向に変化はありませんが証明問題が(ア)、(イ)の2問に増加しました。(イ)に関しては、二等辺三角形となる場合を実際に作図しつつ考える問題となり、また(ウ)に関しては相似や三平方の定理をもとに2次方程式を解く問題となったことで、知識を総合的に活用する傾向へと変化しています。

国語

《全体》

前年度から問題量、形式や長文のボリュームのいずれも変化はなく、文章を記述する問題は問5の資料を含む文のみとなっています。全体として、文脈や意見の概要をきちんと理解する力が求められる方向性で変化しているため、「思考力」と文意と選択肢の正誤を都度把握する「判断力」をバランスよく身につけているか確かめようとする出題となっています。

《漢字》

(ア)の難度は前年より高まりましたが、出題された漢字や、問われている熟語内の漢字のレベルは前年通りとなりました。さまざまな語彙知識を学習するとともに、語彙を実践的に活用する姿勢が求められる傾向となっています。

《古文》

本文の内容にかかわる現代語訳の数が減って、一方で本文後の語注の数が増加しているため、古文全体の大意を読み取る力を測る方向性が強まった出題傾向となっています。

《小説文》

前年に続いて、人物の心情や人物像、文章の特徴の読み取りに加え、文の朗読の方法を問う形式となっています。前年新たに出題された2つの波線部の表現がもつ効果を選ぶ問題はなくなりましたが、表現が文章内でどのような役割を持つか考えることが求められています。

《論説文》

「AIが私たちの生活にもたらすもの」というテーマで、標準的な内容の文となりました。しかし、選択肢に関しては前年より抽象度が高い内容が多く、高い読解力が求められています。各設問の変化に関しては、(ア)では適切な接続詞を選ぶ問題が出題され、前年から出題されるようになった、(オ)の2つの語句を本文中から抜き出す問題は、設問の説明によるヒントが増加し、比較的解きやすい難易度となっています。

《資料を含む文》

前年と同様に、3つの図表やグラフと生徒たちの会話文を読み取る形式で出題されています。(ア)では、図表から計算して選択肢の正誤を判断する設問となり、(イ)では会話全体の意見を整理して簡潔に表現する力が、前年以上に必要となっています。

理科

《全体》

問1~問4が単問形式、問5~問8がそれぞれ物理、化学、生物、地学という出題の順序は前年通りとなりました。また、前年までの複雑な計算を必要とする問題がかなり減少し、また基礎的な知識を測る問題が増加したため、全体の難易度は大きく易化しています。ただし、実験について長めの文を読む形式には変わりなく、問題を読み解く力が求められる傾向は続いています。

《単問形式(問1~問4)》

全単元にわたって、基礎的な知識から出発して順序良く考えることで求められる標準的な難度となりました。なお、問1(ウ)における電流の大きさを求める問題や、問4(ウ)のような震源との距離を求める問題のように、問題文や図の条件を整理して、正確に計算処理する問題が出題される傾向は変化していません。

《物理(問5)》

物体にはたらく浮力について、(ア)のように浮力の原理に関する知識や、(エ)のように浮力と重力の関係を記述する問題が出題されました。また、浮力の大きさを計算する問題を通じて、図表の数値から正しく導き出す力が求められています。

《化学(問6)》

鉄と硫黄の化学反応について、前年度と同様に、長い実験に関する文をもとに考える問題となっています。物質のなりたちや化合についての正しい理解、また実験結果についての会話文から法則を導く論理性が問われています。

《生物(問7)》

だ液のはたらきについて、(イ)のように対照実験の意図を考えさせる問題が出題されました。また、(エ)のように実験そのものの目的を「仮説」という形で提示して読み解かせる形式が出題され、原則に関する正しい理解が求められています。

《地学(問8)》

太陽の南中高度と地軸のかたむきの関係について、教科書内容について知識の定着度を測る出題となっています。夏至の日の太陽の南中高度について数式が与えられていたため、知識の活用が主眼に置かれる形となりました。

社会

《全体》

問1~問6の出題傾向は変わらず、昨年は15字以内で記述する問題が1つ出されていたのが、本年は6字以内の記述する問題のみとなり、ほぼ記述する出題がなくなりました。一方で、選択肢を選んで解答する形式の問題はさらに深い理解を求められるようになり、単純な知識を問うものではなく、資料などにもとづいた「判断力」の必要性が高まりました。

《地理》

マゼランの航海に関する資料と、略地図をもとにして、時差や日付変更線を越えた際に日付をどう進めるかを考える内容となり、地理と歴史をつなげるような形となりました。また、北九州の工業を通じて、世界の石炭の産出量や日本の輸入状況の読み取りや、再生可能エネルギーに関する問題などが出題されています。幅広い知識理解とともに、資料から計算した結果から類推する情報活用力が必要となっています。

《歴史》

昨年度に続いて、今年も「並べかえ」の問題が2問出題されました。その他にも、問4(エ)のように、第1次世界大戦に参戦した日本の目的や、前後の同盟関係について「8択」の問題が出題されるなど、一つのできごとに関係する情報を横断的に把握して、前後のできごととどのように関わるか考える必要性が高まっています。また、資料から事実を読み取るだけでなく、そこから考えられることは何か、導き出す力も求められました。

《公民》

憲法(人権)に関する知識や、歳出・歳入の推移や税金の役割、消費者保護から環境問題にいたるまで、現代社会の中で私たちの身の回りで起こっている課題について幅広く問われました。ドルとユーロの関係性など、政治・経済の変化を論理的にとらえる姿勢を重視する結果となっています。

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